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談志、あるいは神様、あるいは落語 |
私にとって生き神様は、立川談志。 うまいとかえらいとかなるほどとか、 そんな話を超えています。 すごいと思うことを挙げたらキリがなく おかしいといわれても、 すごいんだからいいじゃないか、と。 私のなかでは 一切の批評を受け付けないため、 師匠は神様のカテゴリー入り。 テレビでしかご覧になったことのない方は、 一生のうちに一回でいい、 夜中にじっくりとDVDをご覧ください。
先日、師匠の独演会でのこと。 帰属、についての話がありました。
人間っていうのは帰属しなくちゃいられない。 〜が好き、〜を信じている、〜派だ、 何かに属さないと不安で仕方ない。 犯罪者がいれば、オカシイと言って一斉に叩く。 常識に属せば安心する。 でも、本当はそんなもの何にもない。 落語は、本当はなんにもないってこと、を知っている。 落語を演っているヤツは知らないだろうが、 落語自体はそれを知っている。 だから落語を信頼している。
それを聴いていて、 ふと思い出したのが「神との対話」の神様。 この神様はニール・ドナルド ウォルシュ という作家の頭のなかに降りてきた神様だ。 まずはじめにあったのは、 「存在のすべて」、 それだけだった。
「存在のすべて」自分を分割した。 栄光の一瞬に「これであるもの」と、 「あれであるもの」となった。 また「どちらでないもの」も存在している。
神様は、自分を知るために、魂を分割し、 自分ではないものに対峙することで 感情を知り、愛を知ろうとしたのだ、 と話しているんです。ゆえに…… ものごとは、 それ自体には正邪はない。
人は死ぬまで帰属し続ける。 何かに、どこかに。 例えば、常識、に帰属して得られる つかの間の安心。 その安心に、愛、はあるのか。
談志、あるいは神様、あるいは落語。 談志の落語を聴いて、 解き放たれる瞬間に広がる 大きな大きな不安こそ、自由。
聴き終えて、席を立ち、 凡人の私は、次の帰属に向かうのです。 ちょっとはマシな帰属に向かいたい、 と切望しながら。
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霊的人間の誕生を生む経済社会『下流志向』by内田樹 |
経済効率を求め、 悉く性急になった世の中で 学習ほど効率の悪いものはない。 何かを学び、理解し、身につくには、 待ち時間が必要だ。
それをやって何の得になるのか?
それを理解させなければ 子どもたちは学ばないし、 働こうともしないだろう。
というようなことで、 講演録から起こしているからだろうか、 読みやすく、へーなるほどなるほど、 と納得させられる論理が展開される。
まあ、もっとも それは比較的恵まれた状況下にいる 下流志向の現状であって、 一概にはいえないよなぁとも思う。 もちろんこうした状況も大いに問題。 だが、現実は、さらに複雑で、 問題は、努力したいと願っても できない社会になりつつある、 ということだろう。
観察すること、 見せること、 そして、待つ、こと。
生き物を育てる上で、 とりわけ大切な三本の柱。 もし、あなたに小さな子どもがいるなら、 この本は読んでおくべきかもしれない。
そして、この本を読むときは 決して途中でやめないでいただきたい。 大切な話が、最後の最後に出てくるから。
「師匠を持たないものは敗れる」
『先生はえらい』と 合わせて読むと、 さらに響く。
そして、暗示として、 これからの世の中、 人々の時間の捉え方が 変わってくる、 「霊的な感覚」を 取り入れるようになるだろう と述べている。
「霊的な感覚とは、 いわば最大時間モデルである。 無時間モデルの特徴が 匿名性と非身体性だとすると 生物としての本能が ぎりぎりのところで 『そういうのは嫌だ』と 悲鳴をあげる」
昨今のスピリチュアルブームも その流れのひとつなのかもしれない。
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誤解こそ学び『先生はえらい』by内田樹 |
内田樹氏は神戸女学院大学の教授。 著書多数で、なるほど、たしかに、 の頷きが、今もっとも多い著者ではないか。 武道をなさっているためか、 机の上の言葉ではない、 身体の直感が感じられ、 それがさらに、 なるほど感を増しているように思う。
この本は、内田氏の師弟論である。
学び、とは、誤解からはじまる。
学ぶものは、勝手に誤解して、 勝手にあこがれて、勝手に読み取って、 勝手に学んで、勝手に裏切られる。
夏目漱石の、こころ、の先生然り。 そして、恋愛然り。
この本はプリマー新書という 筑摩書房が中高校生向きに出した 新書のシリーズのなかの一冊だ。
だが、学びの只中にいるものには、 この本の本当のところはつかめまい。
高校生が了解するのは数年後、 ひょっとすると、 20年くらい経ってからに なるんじゃないか。
むしろ、大人のみなさんが 読むべき本です。 いつか立派な勘違いの対象に なれるよう。 えらい先生に、ね。
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